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讃歌
讃歌

■題名■讃歌 1972年 【日本】
■監督■新藤兼人
■出演■渡辺督子 河原崎次郎
乙羽信子 武智鉄二 初井言栄 殿山泰司 原田大二郎

谷崎潤一郎の「春琴抄」を、一番忠実に映画化した作品だと思う。
当たり前ですが、百恵&友和の「春琴抄」とは、
何もかもすべてにおいて違っていてビックリ。
この種の変態チックな世界を、ここまで純文学にできる谷崎は、やっぱり天才なんですね。
そんなフェティッシュな原作を素直に映像化した新藤兼人も素晴らしい。
主演の春琴を演じる渡辺督子さんは、これが映画デビュー作(驚)
伝説になるほどの美しい盲目の天才を、堂々と演じられています。
佐助を演じる河原崎次郎さんは、名脇役だった故・河原崎長一郎さんの弟で、
今も活躍されている河原崎建三さんの兄にあたる方。
Wikipediaで知りましたが、河原崎さんは梨園の血筋の方で、
岩下志麻さんは従姉妹(!!)だったのですね。

それと、ずーっと誤解をしていましたが、春琴抄は実話ではなく、
完全に創作された「伝説の盲目美女」なのだそうな。
ちょっと寂しいけれど、大阪の薬問屋・鵙屋も、春琴も佐助も、
谷崎の世界にしか存在しないのです。
谷崎潤一郎の「春琴抄」は、
「鵙屋春琴伝」という小冊子を元に書いた実話であると、ずっと本気で信じていたのが恥ずかしい。
まさか全部、谷崎の演出だったなんて。さすが谷崎、である。
っていうか、私がモノを知らな過ぎるだけ、だけど。

映画「讃歌」は、
そんな天才・谷崎のフェティッシュなSM変態嗜好を余すところなく描いており衝撃的。
小説にはあって、百恵&友和の世界には無かった、
春琴の下の世話を嬉々として励む佐助の描写も、ちゃんと描かれてありました。
さすが、新藤兼人。

お公家さんのトイレを参考にした春琴の御手洗いは、雅な畳敷きの和式。
穴の下には、鳥の羽を一杯に敷き詰めたお重箱があり、そこに「御通じ」を落とすわけです。
下で待っていた佐助は、すかさずお重の蓋を閉め、
女王様・春琴のお尻を拭いた後、「御通じ」の入ったお重を恭しく掲げながら運び、
庭に穴を掘って中身を埋める・・・・・・・
身の回りの世話だけでなく、佐助は三味線の弟子となり、
それはそれは厳しい指導を受けることになるのだけど、それすら悦び♪という感じ。
誰かの子供(恐らく佐助)を妊娠しても、春琴と佐助は育てない。
関心ないから、産んだら里子に出しておしまい。
2人は夫婦ではなく、師匠と弟子、女王様と僕として生きていて、
女王様・春琴による、程度も限度も超えたようにみえる愛の鞭が次々と佐助を襲い、
Mの佐助はそれを嬉々として受け入れることこそ幸せ♪なのだ。
そんな2人の特殊な生活を、同じ屋根の下に暮らす女中役の乙羽信子さんが、
「家政婦は見た!」状態で見守るわけですが・・・
ある日、美貌目当てに近づいたアホぼんを袖にしたことで、
逆恨みされた春琴は、顔に熱湯をかけられ火傷を負ってしまいます。
「佐助にだけは見られたくない」と泣く春琴に応えるために、
佐助は眼を針で突くことで、究極の変態共依存関係は、ますます昇華して・・・・めでたし、めでたし。
盲目になった佐助が、以前と変わらずお重に入った「御通じ」の始末をする姿は、
なんだか感動的で、不覚にも涙がこぼれました。

最近よく思うけど、
昔の日本映画には、今にはない勢いがあるように感じます。
古いというだけで避けていたけど、観れば結構・・・ハマるのだ。
春琴を演じる渡辺督子さんの邪悪な一松人形のような美しさは、とにかく必見です☆
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